保健福祉学部現代福祉学科Department of
Contemporary
Welfare Science

現代福祉学科 研究紹介

 

岩満 賢次(いわみつ けんじ)

 

【こんな研究をしています】

福祉国家政策は、産業革命以降姿を現し始め、日本では第二次世界大戦後には現在の体系になってきました。しかしながら、各国においてその福祉国家政策は変容を極め、誰からも支援を受けられない人たち、すなわち孤独孤立問題が発生してきました。
もともと人間は社会(人間の集団)の中で生きており、その生活は家族、地域、職域、学校・病院・組合などの非営利組織(NPO)など人間の集団の中で支えてきましたが、これらの諸集団は、国家による福祉が福祉国家政策台頭の中で変容し、そして近年国家による福祉が縮小する中で、誰からの支援を受けられない人たちが誕生しています。
そのような人たちが生活していくためには、行政、企業、NPO、家族、地域といった人間の諸集団はどのような関係にあるべきなのでしょうか(この議論をローカルガバナンスと言います)。例えば、孤独孤立の例のひとつとして、若年層があります。若年層は学校や職場に属していない人は、家族以外の支援がほとんど得られない状態にあります。

図

若年層の支援体制のイメージ図
(出典:筆者作成)

近年では、各国で相談支援事業者のような専門機関と地域からの支援の双方で取り組もうとする動きがあります(図参照)が、まだ十分とは言えません。これらの人間の諸集団のバランスを考えていくことが研究テーマです。また、加えてこれらの孤独孤立に取り組む中核はNPOであると考えており、その人材を養成するサービスラーニング・福祉教育も進めています。

これらの孤独孤立は、若年層だけではなく、高齢者や障害者、災害時要援護者など多様な人たちが被る問題となっています。福祉制度が複雑化する中で、支援を受けられない人は誰なのか、どのようにすれば社会は豊かになれるのかについて考えていきます。

 

【キーワード】

ローカルガバナンス、民間の福祉、地域福祉政策、生活困窮(貧困・孤独孤立・排除)、住民参加、ボランティア・NPO、サービスラーニング・福祉教育

 

【受験生・在学生にひとこと】

世の中の多勢のことは人間が決めていることです。福祉の制度も人間が決めていることであり、国や地域が異なれば全く違うものとなり、また時代とともにいかようにも変容していきます。どのような福祉制度を望むかは社会の中で決めることです。その決定を一部の人に任せておくのではなく、各個人がそれぞれ頭をひねって考える、そんな民主的な社会を進めていくことが重要だと考えています。