保健福祉学部現代福祉学科Department of
Contemporary
Welfare Science

現代福祉学科 研究紹介

 

中村 光(なかむら ひかる)

 

【こんな研究をしています】

中村光研究室では、後天的脳損傷に伴う認知機能やコミュニケーションの障害に対する評価と介入に関する研究を行っています。
言語・記憶・遂行機能などの認知機能、およびそれらを使って行われるコミュニケーションは大脳が司っています。脳血管疾患、脳外傷、神経変性疾患などは脳にダメージを与え、しばしば認知機能やコミュニケーションに深刻な障害を引き起こします。

研究室の研究テーマは以下の通りです。

  1. 後天的脳損傷に伴う認知機能やコミュニケーションの障害を適切に把握するための評価法の開発。
  2. 適切な評価に基づく障害の本質への接近。
  3. 障害を軽減し日常生活に及ぼす影響を最小限にするための介入法の開発と効果測定。

研究の手法は心理(行動)実験です。例えば以下は、大学生と高齢者に語列挙課題(1分間で動物の名前をできるだけたくさん言って下さい)を行った結果です。高齢者は若年者より、全体的に単語想起数が少ないことがわかります。同時に、高齢者の想起数低下は名詞よりも動詞で顕著であることもわかります(グラフ右2つ)。すなわち、動詞は名詞と異なる脳内処理が成されていること、動詞の想起には加齢とともに低下しやすい認知機能(おそらく遂行機能)が関与していると示唆されます。

グラフ

【キーワード】

言語聴覚障害、コミュニケーション障害、失語症、高次脳機能障害、認知症

 

【受験生・在学生にひとこと】

現代の対人支援では「根拠に基づく実践」が求められます。専門職がクライエントを支援する際には、「なぜその介入行為を選んだのか」の科学的根拠が必要です(経験と勘ではいけません)。根拠に基づく対人支援が行えるよう、大学で学びましょう。