保健福祉学部栄養学科Department of
Nutritional
Science

食品栄養学研究室

教員紹介

氏名・職位    丸田 ひとみ MARUTA, Hitomi 講師


【専門分野】

食品栄養学、調理科学

【所属学会など】

日本栄養・食糧学会、日本農芸化学会、日本家政学会、日本調理科学会

主な研究テーマ

〈抗肥満、抗老化関わる機能性食品の研究、地域食材に関する研究〉

  1. 食酢に含まれる酢酸、ビフィズス菌、マガキやタウリンなどの機能性に関する研究
  2. 地元食材の栄養成分に関する研究
  3. 栄養バランス弁当の作成・監修

一般の方へ

こんな研究をしています

糖尿病患者は肝臓や脳における糖代謝は健常者と比較してほとんど変化がないのに対して、筋肉における糖代謝は約40%減少するという報告があります。また、加齢により筋量が減少すると、エネルギー消費量が減少し、肥満のリスクが高めるため、日本における急速な高齢化は糖尿病患者数の増加の一因になるとも言われています。そのため、最大のエネルギー消費器官で、重要なインスリン応答臓器でもある骨格筋は肥満及び糖尿病の研究において重要なターゲットであると考え、骨格筋の解析を中心に抗肥満、抗糖尿病の研究を行っています。
これまでの研究で、食酢に含まれる主要な酸味成分である酢酸は、空腹時にはエネルギー源となりますが、満腹時には体脂肪の蓄積を抑え、反対に脂肪を燃焼させるような機能が示されてきました。また、高齢の動物に継続的に酢酸を摂取させると筋機能の低下が抑制される結果も得ています。そのため今後は、酢酸の機能性を損なわず食べやすい食品の開発にも取り組んでいきたいと考えています。

岡山県は面積の10分の1が耕地面積であり、販売農家数も中国地方では1番と農業が盛んな地域です。また、年間降水量が1㎜未満の日数が全国で最も多い県、つまり晴れの日が多いという特徴をもった県です。日照時間や晴れの日の日数などは食品中のビタミンなどの含有量に影響があることが報告されており、岡山県の農作物には何かしらの栄養成分的特徴を見出すことができるのではと期待しています。また、瀬戸内海に面しており、海の幸にも恵まれています。そのため、マガキなどの養殖も盛んであることからも瀬戸内海産のカキについても成分の特徴などについて研究を行っております。地域の食材に付加価値を与えられるような栄養成分的な特徴、機能成分などを明らかにすることを目標とし、検討を行っています。

栄養バランス弁当栄養バランス弁当

受験生・在学生にひとこと

現在、世界中で肥満や糖尿病などの罹患者数は増え続けています。また、全世界で急速に高齢化が進んでおり、特に日本では超高齢化社会を迎えています。私たちの研究室では、食品の持つ機能性により肥満や糖尿病の予防・改善、さらに加齢に伴う機能低下の抑制について研究を行っており、これまでに食酢の主成分である酢酸の機能性について明らかにしてきました。加えて、カキなどに多く含まれるタウリンに抗老化作用などについても取り組んでいます。現在は、そのメカニズムの解明とその機能を活かした機能性食品の開発を目指しています。

研究者の方へ

研究の概要

これまでの研究で酢酸は、抗肥満、抗糖尿病効果を有していることを明らかにしてきました。過食により肥満と2型糖尿病を発症するモデル動物に酢酸を継続的に摂取させることにより体重増加抑制、耐糖能改善、脂肪肝抑制、さらに骨格筋における脂質代謝の促進効果を示し、そのメカニズムについても培養細胞を用いて解析を行っております。加えて、酢酸を高齢動物に継続的に摂取させる研究により、酢酸が高齢者の骨格筋萎縮やサルコペニア肥満を予防する可能性についても示唆する結果を得ております。
また、企業との共同研究として、最終生産物として酢酸を生成するビフィズス菌の機能性についても進めております。
 その他にも、岡山県の農家様と共同研究で地元食材の栄養成分の分析や、地元のスーパーと協働して学生が主体となって、学科の教員と共に栄養バランス弁当の作成などを行っています。