食品機能学研究室
教員紹介
氏名・職位 山下 広美 YAMASHITA, Hiromi 教授
【専門分野】
食品栄養学
【所属学会など】
日本栄養・食糧学会、日本農芸化学会、日本家政学会、日本生化学会
主な研究テーマ
〈抗肥満、抗生活習慣病、抗加齢に資する機能性食品に関する研究〉
- 加齢に伴う骨格筋の萎縮および生活習慣病の発症を予防する機能性食品に関する研究
- ビフィズス菌発酵乳の機能性に関する研究
- 瀬戸内海で養殖されたマガキの含有成分とその機能性に関する研究
- 岡山パクチーの栄養成分に関する研究
- 栄養バランス弁当の作成・監修
一般の方へ
こんな研究をしています
1.加齢に伴う骨格筋の萎縮および生活習慣病の発症を予防する機能性食品に関する研究
- 食酢(醸造酢)に含まれる主要な酸味成分である酢酸は、空腹時には生体のエネルギー源となり、夕飯などの満腹時には体脂肪蓄積を抑制するような機能を発揮します。酢酸を継続的に摂取することにより、肥満の抑制、耐糖能の改善、さらに骨格筋における脂質代謝が促進されることが明らかになりました。また酢酸は骨格筋において脂肪代謝を促進するように作用することも示されております。今後は、酢酸の機能性を活かした食品の開発に繋げていきたいと考えています。
2.新規ビフィズス菌発酵乳の機能性に関する研究
- ビフィズス菌は発酵すると酢酸と乳酸を生成します。企業との共同研究により、新規ビフィズス菌発酵乳の肥満抑制効果について研究を行っています。
3.瀬戸内海で養殖されたマガキの含有成分とその機能性に関する研究
- 瀬戸内海、とりわけ岡山、広島、兵庫の海域は全国でも屈指の牡蠣の養殖場ですが、養殖海域や季節の違いにより牡蠣の栄養となる成分量は変化すると考えられています。本研究室では、養殖海域や収穫される時期の違いが牡蠣の成分にどのような影響を与えるか明らかにすることを目的として、牡蠣に豊富に含まれる炭水化物(グリコーゲン)、タンパク質、脂質、ミネラル、アミノ酸などを測定し、牡蠣に含まれる成分の季節的な動態解析を企業との共同研究で進めています。また牡蠣に多く含まれるタウリンの生理機能性についても解析を行っています。
4.岡山パクチーの栄養成分に関する研究
- パクチーは主に中国やタイ、また地中海地域でスパイスや薬草として利用されている香草です。近年日本でも利用されてきていますが、その成分の特徴について未だ不明な点が多い食材です。最近岡山でも栽培がなされおり、その成分および栄養成分についてその特徴を明らかにすることを目的として農家さんと共同で研究を開始しました。
受験生・在学生にひとこと
世界中で肥満や糖尿病などの生活習慣病の罹患者が増加しています。その背景には、運動不足や栄養バランスの不均衡な食事摂取などがあります。私たちの研究室では、食品の持つ機能性により肥満や生活習慣病の予防・改善を目指して研究を行っており、これまでに食酢の主成分である酢酸の抗肥満効果について明らかにしてきました。現在は、酢酸の持つ骨格筋への作用、特に脂肪代謝促進効果とそのメカニズムについて取り組んでいます。またその機能を活かした機能性食品の開発を目指しています。
また、その他にも地域の食品関連の企業と積極的に共同研究を行っています。
研究者の方へ
研究の概要
- 食酢(醸造酢)に含まれる主要な酸味成分である酢酸は、空腹時には生体のエネルギー源として作用し、摂食時には体脂肪蓄積を抑制する機能を有します。肥満と糖尿病を発症する動物を用いた研究において、酢酸を継続的に摂取することにより、肥満の抑制、耐糖能の改善、さらに骨格筋における脂質代謝が促進されることが明らかになりました。現在は、培養細胞を用いて酢酸が骨格筋においてどのようなメカニズムで脂質代謝を促進するのか解析すると共に、酢酸が高齢者の骨格筋萎縮やサルコペニア肥満を予防する可能性についても検討しています。
- 発酵により酢酸を生成するビフィズス菌の機能性に関する研究を企業との共同研究で進めています。
- カキの成分解析の過程でタウリンを多く含むことがわかりましたので、タウリンの生体における機能性に着目し研究を進めています。現在は主に骨格筋における作用に注目しています。
- 岡山の農場で生産されているパクチーは特有の強い香りが比較的少なく食べやすいと言われています。岡山パクチーの成分や栄養的な特徴を明らかにすることを目的として研究を行っています。
- 地元のスーパーと協働して学科の先生と共に栄養バランス弁当を作成しています。