保健福祉学部栄養学科Department of
Nutritional
Science

公衆栄養学研究室

教員紹介

氏名・職位    久保田 恵 Kubota, Megumi 教授


【専門分野】

公衆栄養学

【所属学会など】

日本栄養改善学会、日本栄養・食糧学会、日本抗加齢学会、日本骨粗鬆症学会、病態栄養学会

主な研究テーマ

〈地域住民の健康づくり・食育推進に関する研究〉

  1. 骨粗しょう症の発症予防と重症化予防に関する研究
  2. SCを活用した地域における健康増進に関する研究
  3. 学校や保育所給食における食育に関する研究

一般の方へ

こんな研究をしています

超高齢社会において生活習慣病が増加する中、人々は健康にいきいきと生活したいという思いから、栄養や健康に関する情報を求めています。しかし、現在は世の中にあふれる健康情報から、本当に信頼できる情報(エビデンス)を見極めて実践するということが、しばしば難しいことがあります。

公衆栄養学研究室では、食と健康の関係について人の集団を対象として調べるという方法(栄養疫学といいます)を用いて研究し、保健医療福祉分野の実践において役に立つエビデンスづくりに貢献することを目標としています。

栄養疫学研究で得られた成果を活用して、地域で暮らす人々が抱えている健康・栄養上の問題を改善し、元気でいきいきと生活していくための手段や、食環境を向上させるための研究や実践活動を進めています。

現在は、骨粗しょう症予防や減塩、子供の偏食改善、地域における健康・食育活動を効果的に推進するための組織づくりについてなどをテーマに取り組んでいます。

研究では大学の外に出て人と接する調査を行います。調査研究では、研究者をはじめ多くの協力体制が必要なため、学内の他学部他学科、あるいは他大学の教員とチームを組んだり、県内の自治体や組織などとの共同研究も行ったりしています。

実践活動では、大学内外の健康教育、食教育に関するイベントを通してエビデンスに基づく情報発信を行っています。また、自治体との共同研究をもとに保健福祉行政や市町村健康増進計画や食育推進計画の策定事業に関わる機会も多くあります。

受験生・在学生にひとこと

『公衆』と いう言葉には、『社会一般の人々』という意味が込められています。公衆栄養学とは、個人はもちろん、地域の人々の健康の保持増進や疾病予防などに関する栄養上の問題や課題を把握・分析し、解決策を考え、いつまでも元気でいきいきと暮らすことができることを目指す学問です。

また、公衆栄養学分野は、学外における調査研究や実践活動の機会が多く、これらを通じて多くの出会いがあり、その中でコミニュケーションスキルを磨き、自分の成長を実感できる分野でもあります。

「食」や「健康」に興味をお持ちの方、「食に関わる仕事」や「人と接する仕事」に関心をお持ちの方、ぜひ、食を通じて人の健康を支援する「公衆栄養学」を一緒に学んでみませんか。

研究者の方へ

研究の概要

健康で、その最終的な目標とされている生活の質(QOL)の高い日々を過ごすこと、そして健康寿命の延伸を達成することは、多くの人々にとって共通の願いです。しかし、現在の日本は、生活習慣病が増加の一途を辿り、中高年層はもとより若年層にもこの問題が顕在化しつつあります。そこで、どのような食事や生活習慣が健康維持や生活習慣病の発症予防・重症化予防にはよいのか、について明らかにすることを目的とした栄養疫学研究を行っています。

テーマの一つとして、骨粗鬆症の発症予防と重症化予防に関する研究に取り組んでいます。骨粗鬆症の危険因子として骨代謝に影響を及ぼす因子には遺伝素因とホルモン、栄養、運動等の環境因子がありますが、日常生活で改善できるのは栄養と運動です。これまで栄養因子と関連が強い遺伝因子として腸管でのCa 吸収を担っているビタミンD 受容体(VDR)遺伝子多型を見出し、この遺伝子多型が閉経後女性の骨密度と特異的に相関することを明らかにしてきました。骨密度規定因子に関する横断研究では、どの年代でも遺伝因子や栄養因子以上に体組成(女脂肪体重、体脂肪量)が骨密度と高く相関していることを報告してきました。

また、閉経後女性では女性ホルモンの分泌が低下し、脂質代謝及び骨代謝に異常をきたすことにより、動脈硬化性疾患や骨粗鬆症の発症や重症化を生じることが知られています。そこで、超高齢化社会において健康寿命の延伸を実現するために、閉経後女性の脂質代謝異常症の改善、すなわち動脈硬化症の進展、及び骨密度の低下を招かない体重減少を考慮した骨粗鬆症予防支援プログラムの開発を目指して、ヒトを対象とした介入研究等を行っています。

加えて、研究で得られたエビデンスを用いて地域で健康増進活動を推進するための効果的な取り組み方法について考えていく実践的な研究(SCを活用した地域における健康増進に関する研究、学校や保育所給食における食育に関する研究)にも取り組んでいます。