大学院[保健福祉学研究科]Graduate
School

【博士後期課程】保健福祉科学専攻 看護学大講座

看護学大講座

看護専門職は多様かつ急速に変化する社会状況を認識し、人々の健康の維持・増進または疾病予防や回復を目指す方法を見出していかなければならない。そのためには健康と看護の概念の史的変遷をふまえ、看護実践をとおして生じる諸現象やケアそのものを科学的に解明していく必要があります。

本大講座では、慢性疾患患者やがん患者及びその家族が抱える諸問題や高齢者のケアニーズに対応する看護システムやケア開発、看護の質向上に資する教育・研究を行います。

 

[学位記に付記される大講座分野の名称]

看護学

カリキュラム

■看護学大講座

基礎看護科学特別講義Ⅰ

【担当教員】
森本 美智子[教授]

【講義等の内容】
臨床におけるケアのエビデンスを検証する研究を探求する。
特に感染症看護ではMRSA感染症などの院内感染や輸入・新興感染症に対する防護の重要性に着目し、環境感染による感染予防、環境整備など看護ケア方法および輸入・新興感染症の二次感染の危険から医療従事者や患者を保護する方法・防護具等を探究する。感染看護の有効な看護方策を検討し、高度な知見を修得するために感染看護の文献を読み、プレゼンテーション、デスカッションを行い、成果として最新の知見をまとめる。
加えて看護ケアに関しての実験あるいは調査(文献及び実践の場 における観察など)をとおし、研究手法を開発・評価する。さらに専門分野に関する課題やテーマを明確にしたうえで論文を活用し、討論しながら具体的に研究を進める。


基礎看護科学特別講義Ⅱ

【担当教員】
荻野 哲也[教授]

【講義等の内容】
看護実践に伴う体表面への圧力や温度変化などの負荷は、局所および全身に様々な効果をもたらす可能性がある。
生体への負荷と、それに伴う自律神経機能や循環動態などの変化を評価し、細胞・組織・個体の応答を解明する。


基礎看護科学特別講義Ⅲ

【担当教員】
佐々木 新介[准教授]

【講義等の内容】
新しい看護援助方法の開発や高度な看護実践能力を身につけるために、生体情報の計測方法・可視化技術について最新の知見を学習する。
また、既存の看護援助の課題や海外の動向について英文献を読解し、論理的かつ批判的思考を身につける。


成人看護科学特別講義Ⅰ

【担当教員】
名越 恵美[准教授]

【講義等の内容】
緩和ケアの対象は「生命を脅かす疾患」であり、がん・非がん患者への緩和ケアは重要な課題である。特にがんと心不全は、全世界的に大きな問題となっている。
そこで、日本の文化・倫理的な課題も踏まえ、「生命を脅かす疾患」を持つ患者へのQOL及びQODの向上にむけた支援と評価について構造構成主義の立場から質的研究の手法を用いて探求する。


成人看護科学特別講義Ⅱ

【担当教員】
喜多村 真治[教授]

【講義等の内容】
社会変化に伴い、様々な医療環境が変化している。それに伴い看護・保健・福祉・介護の分野でも変革が進んでいる。そのような社会的背景に基づき、看護師が看護・保健・福祉・介護の現場での問題点を抽出し、その解決法を研究し、論理的思考を身につけ、様々な問題に対処できるように学習する。


成人看護科学特別講義Ⅲ

【担当教員】
住吉 和子[教授]

【講義等の内容】
死亡率・罹病率ともに上位を占める慢性疾患は、複雑・高度に発展した時代を生きる人々の生活と環境から生じる副産物ともいえる。
慢性疾患は、病む本人とその家族に持続的で多様な苦痛をもたらすことから継続的・総合的な支援が必要とされている。さらに、慢性疾患患者の増加が医療費の高騰など社会の全般に影響することから、学際的な取り組みが重要視されている。
本講では、このような健康問題を広く理解した上で、生涯にわたって症状をコントロールし、病いと折り合いをつけながら生活を調整し再構築していくための患者と家族への援助方法を探求することを目的としている。


老年看護科学特別講義

【担当教員】
實金 栄[教授]

【講義等の内容】
人生の最終段階にある人々を対象とするケアについて、国内外の研究動向を参照にしながら、個人や家族および療養の場の多様化に沿った、全人的なケアの実践と評価について量的研究により検証する。


小児看護科学特別講義

【担当教員】
未定

【講義等の内容】
小児看護学の主要な理論と概念について理解を深め、子どもと家族への支援について様々な視点から検討する。


母性看護科学特別講義

【担当教員】
岡﨑 愉加[准教授]

【講義等の内容】
リプロダクティブヘルス/ライツの視点から、ライフサイクル各期の女性と家族への看護について、国内外の文献から研究の動向を探求する。


地域看護科学特別講義

【担当教員】
森永 裕美子[教授]

【講義等の内容】
複雑・多様化する地域・集団・個別の健康課題及びそれに対応するための方策や新たな地域ケアシステムと評価のあり方を探求する。
地域看護における理論構築と科学的根拠に基づく施策化、政策評価と政策提言を行う能力を獲得し、理論と実践の融合について探求する。


精神看護科学特別講義

【担当教員】
井上 幸子[准教授]

【講義等の内容】
臨床、地域、学校等の様々な場で行われる精神看護を想定し、精神科臨床およびメンタルヘルス不調の予防活動において用いられる諸理論や先行研究をレビューし、自身の研究を発展させる。


看護学特別研究

【担当教員】
森本 美智子[教授]、荻野 哲也[教授]、喜多村 真治[教授]、住吉 和子[教授]、森永 裕美子[教授]、實金 栄[教授]、岡﨑 愉加[准教授]、名越 恵美[准教授]、井上 幸子[准教授]、佐々木 新介[准教授]

【講義等の内容】
指導教員の指導のもと、研究テーマとその周辺分野に関する最新の研究動向を調査し、学会への参加や他機関との交流などを通して、研究計画能力と総合評価能力を培わせるとともに、新たな知を創造できる能力をつけさせる。
博士論文作成のための理論、実験等に関する研究指導を行う。


教員紹介はこちらから

(注)授業科目及び担当教員は一部変更する場合があります。

論文テーマ

■2022(令和4)年度

  • 終末期維持血液透析患者の医療・ケア方針の検討に関わる看護実践に関する研究

■2021(令和3)年度

  • Health Action Process Approachによる20-30歳代女性の子宮頸がん検診の受診行動に関する基礎的研究
  • 看護師の働きやすい職場づくりに関する研究

■2020(令和2)年度

  • Risk Behavior among Adolescents in Nepal

■2019(令和元)年度

  • 高齢者における配偶者の死に備えての準備に関する研究
  • 児童相談所保健師の専門的能力に関する基礎的研究

■2017(平成29)年度

  • 看護師のワーク・モチベーションに関する基礎研究
  • 看護職者の共感ストレスに関する基礎研究
  • ICU survivorsのせん妄とICU入室体験に関する研究

■2016(平成28)年度

  • 看護師の職業キャリア発達に関する基礎研究

■2014(平成26)年度

  • 訪問看護ステーション管理者の職務継続に関する研究
  • 母の育児負担感緩和の為の父の親性に関する研究
  • 末梢静脈穿刺におけるタッピングとマッサージの静脈怒張効果の検証~効果的な静脈怒張法の確立を目指して~
  • 末梢静脈の怒張を目的とした上肢温罨法の検証
  • A Novel Approach to Providing Nursing Care in Hospital of Nepa

■2012(平成24)年度

  • 医療事故に伴うインパクト体験と安全学習および看護師の成長に関する研究
  • 在宅要援護高齢者のソーシャルサポートと自尊感情に関する研究

■2011(平成23)年度

  • 前立腺がん患者の排尿・排便・性機能に対するストレス認知と心の健康に関する研究
  • ケアスタッフがとらえた認知症高齢者の自我構造の特徴が対人交流に与える影響
  • 褥療予防における側臥位角度の検証
  • 東アジア圏域における高齢者に対する家族の介護意識の社会化に関する基礎研究

■2010(平成22)年度

  • 静脈穿刺に用いる駆血帯装着時の適切な駆血圧の検討
  • ギャッヂベッドによる安楽な背上げ・膝上げ方法の検討

■2009(平成21)年度

  • ずれ負担が褥瘡形成に与える影響
  • アルツハイマー病患者の日常認知・行動測定尺度の開発
  • ユニット型介護老人保健施設における認知症ケアの質に関する研究

■2008(平成20)年度

  • コミットメント理論による看護師の離転職に関する研究

■2007(平成19)年度

  • 初発乳がん患者の肯定的心理がQOLに及ぼす影響の検討
  • 高齢者のスピリチュアリティに関する研究
  • ライフスキルトレーニングを用いた性教育プログラムの開発と評価に関する研究

■2006(平成18)年度

  • 在宅認知症高齢者の家族介護者におけるニーズに関する研究
  • 医療依存度の高い療養者を在宅介護する家族の介護準備態勢に関する研究
  • 褥瘡における血管病変の検討

■2005(平成17)年度

  • 看護師のストーマ看護実践がストーマ造設患者の適応状態に及ぼす影響
  • 障害モデルを用いた慢性閉塞性肺疾患患者の活動能力と精神的健康に関する研究