2024年1月5日建築学科

学生の声(第3回)

第3回は、本学大学院を2019年度に卒業した安達駿さんへのインタビューです。

 

岡山県立大学では「県大吉備塾」を毎年開催しています。
県内外で活躍する本学の卒業生が、勤務する職種や業界の情報を紹介しつつ、大学時代のことを振り返ったり、現在の仕事内容を詳しくレクチャーする学生キャリア関連のイベントです。
建築学科では、2023年11月16日に本年度の「県大吉備塾」を開催しました。2019年度大学院卒業生で、建築設計事務所のアール・アイ・エーで建築デザインを担当しバリバリ働かれている安達駿さんをお招きしました。
ここでは県大吉備塾の様子をまじえながら、安達さんの活躍についてご紹介いたします。

安達さんは真庭市出身で、津山工業高校デザイン科を卒業後、本学デザイン工学科へ入学しました。建築・都市デザイン領域を選択し、卒業後は本学大学院へ進学・修了し、2020年4月からアール・アイ・エーで仕事をしています。
アール・アイ・エーは規模の大きな建築設計事務所で、再開発事業に強みを持つ建築業界ではとても有名な会社です。本学の近くでは、倉敷の「あちてらす倉敷」を設計されています。
安達さんは「建築設計の仕事をするために努力してきたこと」と題して、

  • 組織設計事務所の建築設計業務とは?
  • 建築業界について
  • 大学での活動や生活について

の3つのテーマについてお話をされました。
設計とはどんな仕事なのか、また自身が実際にどのように仕事をしているのかを、スケッチや図面、工事中の写真、関連する法令などさまざまに紹介しつつ、柔らかい落ち着いた語り口で話をしてくださいました。
安達さんが建築設計の仕事をとても楽しんでおり、また誇りを持ちながら職務を全うしていることもうかがえました。時折学生に質問を投げかけるなど、建築設計の現場でもコミュニケーションを大事にする安達さんの人柄がうかがえました。

設計のスケッチ

設計のスケッチ。デジタルに頼るのではなく、手を動かしスケッチしながら考えることが多いと安達さんは言います。

 

安達さん

建築のための木材の調達を考えることも仕事の一部です。

 

建築作品

最近完成した安達さん設計の建築(集合住宅)です。

 

続いて安達さんは、本学のデザイン工学科に入学した経緯や、学生生活を振り返りながら、お話を進めてくれました。安達さんは「デザインと思考力を重視する」、「多数の工房施設」、「地域との関係性」に魅力を感じ、本学に進学しました。大学でも授業や研究室の活動、コンペに加えて、地域とのつながりを活かした様々な活動もできて、とても充実した日々だったと振り返っていました。

4年生の卒業間近になり、安達さんは卒業研究に納得がいかず(教員の目から見ても決して悪いものではありません!)、大学院進学を決断します。大学院でのさらなるチャレンジを選びました。
大学院生の時には、とりわけ研究活動と学外コンペ活動に力を入れます。研究活動では沖縄の南大東島の製糖工場周辺地域の保存活用に取り組み、毎月1作品のペースで学外コンペに応募しました。そして数多くのコンペに入選しました。以下は抜粋です。

  • 第4回 ラ・アトレ+小泉 学生実施コンペ 「茶室の ある暮らし」入選
  • 第2回 Woodyコンテスト 木造住宅部門(学生部門)「棚田と暮らす原風景」最優秀賞
  • 第5回 2018学生・若手実務者のための構造デザインコンペティション「STRUCTURESEEDS」最優秀賞

そのほかにも学生の仲間とともに総社市の空き家をリノベーションしたり、寝る間を惜しんで勉強を続けたと安達さんは言います。

活動の様子1

空き家をリノベーションしていた時の様子です。設計提案し、施工にも取り組みました。

 

活動の様子2

研究室でまとめたプロジェクトの発表風景。この時はJR桃太郎線の車窓から見える風景について考えました。

 

最後に安達さんは以下の10点を学生へのアドバイスとしてまとめてくれました。

  1. 建築設計の実務は、大学の設計課題で取り組むことと同じであること。
  2. 日常生活にはさまざまな「いいデザイン」が潜んでいて、そこに設計のヒントがある。常にアンテナを張って、スケッチをしたり写真を撮ること。
  3. 好きなことを仕事に(建築に関わることは設計だけがすべてではない)
  4. 大学院進学も視野に入れる。じっくり時間をかけて研究できるし、自分のことを見つめ直す時間にもなる。
  5. 建築設計の大変さとやりがい。建築設計は社会的責任が大きいため、苦労はあるものの、出来上がったものを見た時に感動は大きい。使い手が喜んでくれれば設計者冥利に尽きる。
  6. あらゆることに興味関心を持つ。建築設計には膨大な知識が必要。
  7. 自分で考え自分で手を動かす。
  8. 常に学ぶ姿勢を忘れない。情報に敏感になり、新しいことを積極的に学ぶこと。
  9. 何かに熱中する。4年間もしくは6年間でこれは頑張ったと思えることを些細なことでも何でも頑張る。
  10. しっかり遊ぶ。やるべきことを見据えながらみんなで遊ぶ。

安達さんは本当に建築設計が大好きなのだなとこちらもうれしくなるような楽しいプレゼンテーションでした。
安達さんと同じようにこれからも数多くの卒業生が建築の現場で活躍されることを願います!

県大吉備塾の様子

2023年11月16日の県大吉備塾の様子