2021年9月16日情報系工学研究科学生・教員の受賞情報

情報系工学研究科大学院生が執筆した論文が令和3年度論文賞を受賞

日本シミュレーション学会「日本シミュレーション学会論文誌」第12巻(2020)2号に掲載された、情報通信工学科通信システム工学研究室 (稲井教授、若林准教授、荒井助教) の光電磁波解析グループが執筆した論文「非理想的な多層構造を持つ多層誘電体格子による構造性発色の数値解析」が令和3年度論文賞を受賞しました。
「日本シミュレーション学会論文賞」は、シミュレーション技術に関する研究・普及・発展のため、独創性の高い優秀な研究論文に対して表彰する賞です。

日本シミュレーション学会令和3年度論文賞

賞状画像

論文:非理想的な多層構造を持つ多層誘電体格子による構造性発色の数値解析
著者:丸山岳人、若林秀昭、荒井 剛、稲井 寛
発行機関:日本シミュレーション学会論文誌 Vol.12, No.2, pp. 68–75,2020.
DOI:https://doi.org/10.11308/tjsst.12.68
筆頭著者の丸山氏は、本学大学院情報系工学研究科博士前期課程修了生です。

近年、生物の形態や構造を模倣し、新しい製品技術に活かす「バイオミメテクス」という分野の研究が注目されています。生物が持つ構造性発色の仕組みを解明することにより、従来にない通信用波長選択フィルタ、インテリア・装飾素材などの開発が期待できます。
色素や顔料の色料と違い、構造性発色は光の波長程度の微細な構造により、光波の干渉や散乱によって発色し、生物に多くみられます。
本論文では、コバルトブルーの構造性発色を放つ熱帯魚ルリスズメダイの体表から、非理想的な多層構造を持つ微細周期構造を考案しています。あらゆる方向から観察した色を数値的に表記する方法を開発し、若林らが開発・提案している行列固有値法という独自の解析算法との併用により、発色特性を検討しています。特に注目すべき結果として、非理想的な多層周期構造は、優れた波長選択性を有する(彩度の高い色を示す)こと、従来にない高性能な通信用フィルタや素材の開発に大きく寄与することを示しています。

 

■岡山県立大学情報工学部通信システム工学研究室

【通信システム工学研究室の紹介】
通信システム工学研究室では、情報通信に関するテーマを広く扱っています。一般的な通信システムでは、多くの端末が伝送路を共有して情報をやりとりします。例えば、ある端末が伝送路の使用可能時間になると、信号を光や電磁波に乗せ、伝送路に送り出します。そのため、端末に対する伝送路の使用時間の割り当て方法、伝送路を伝わる光波や電磁波の振る舞い、さらに、信号を波に乗せるための適切な通信方式などを考える必要があります。
当研究室では3名の教員が、ネットワーク、光電磁波解析、通信方式のそれぞれのグループの中心となり、連携してこれらのテーマを研究しています。