○岡山県立大学の研究活動における不正行為防止等に関する規程
平成27年6月18日
(趣旨)
第1条 この規程は、岡山県立大学(以下「本学」という。)における研究者の研究活動上の不正行為防止、不正行為に起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置等(以下「不正行為防止等」という。)に関し、「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン」(平成26年8月26日文部科学大臣決定)に基づき、必要な事項を定める。
(1) 教員 公立大学法人岡山県立大学職員就業規則第2条第2項に規定する教員及び公立大学法人岡山県立大学特任教員就業規則第2条に規定する特任教員をいう。
(2) 事務職員 公立大学法人岡山県立大学職員就業規則第2条第2項に規定する事務職員、公立大学法人岡山県立大学特定事務職員就業規則第2条に規定する特定事務職員、公立大学法人岡山県立大学再雇用特定事務職員就業規則第1条に規定する再雇用特定事務職員及び公立大学法人岡山県立大学有期雇用職員就業規則第2条に規定する有期雇用職員をいう。
(3) 教職員 本学の教員、事務職員及び岡山県立大学特命研究員取扱規程第1条に規定する特命研究員をいう。
(4) 研究者 本学の教職員及び学生で、本学の施設設備を利用して研究に携わる者をいう。
(5) 研究活動 研究活動中並びに研究成果の作成及び報告の過程をいう。
(6) 捏造 存在しないデータ、研究結果等を作成することをいう。
(7) 改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工することをいう。
(8) 盗用 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用することをいう。
(9) 不正行為 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによるものであり、本学の研究者又は本学の研究者であった者が本学在籍中に行った研究活動における次の行為をいう。
ア データその他研究結果の捏造、改ざん又は盗用
イ アに掲げる行為の証拠隠滅又は立証妨害
ウ その他社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの
(責任体系)
第3条 不正行為防止等に関する責任者を学長とし、当該事項に関する審議は、岡山県立大学委員会設置規程別表1に規定する総務委員会が所掌する。
2 学長は、不正行為防止に関する計画の策定及び啓発活動を行う。
3 学長に事故があるとき、又は欠員のときは、副学長(教育・学術研究担当)がその職務を行う。
4 学長は、本学の研究活動上における研究者の役割及び責任を明確にし、別途定める。
(研究倫理教育の実施)
第4条 学長は、不正行為を事前に防止し、公正な研究活動を推進するために研究者に求められる倫理の修得等のための教育(以下「研究倫理教育」という。)を実施し、研究者の基本的責任、研究活動に対する研究者の行動規範、研究分野の特性に応じて守るべき作法(研究データとなる実験・観察ノート等の記録媒体の作成、資料の保管や実験試料・試薬の保存、論文作成の際の各研究者間における役割分担・責任関係の明確化等)等の知識や技術を提供する。
2 各学部の研究倫理教育責任者として保健福祉学部長、情報工学部長及びデザイン学部長を充て、全ての研究者を対象に研究倫理教育を最低でも3年に1回以上行う。
3 全ての研究者は、研究倫理教育を受講しなければならない。
4 研究倫理教育責任者に事故があるとき、又は欠員のとき、学長は、当該研究倫理教育責任者が所属する学部から適任者を指名し、その職務を行わせる。
(研究データの保存・開示)
第5条 学長は、不正行為の抑止及び研究者が不正行為の疑いを受けた段階での正当性の証明手段の確保を目的に、研究者に対して研究データの保存期間及び管理・開示方法を明示し、第三者による研究成果の検証の可能性を確保する。
(告発等窓口の設置と告発の取扱い)
第6条 学長は、不正行為に関する告発、情報提供、相談又は照会等(以下「告発等」という。)に対応するための窓口(以下「告発等窓口」という。)を事務局地域連携・研究推進課に設置し、その名称、場所、連絡先、受付方法等をホームページ等により学内外に周知する。
2 不正行為の疑いが存在すると思料する者は、書面、電話、FAX、電子メール又は面談により、告発等窓口に告発等を行うことができる。
3 告発等は、実名(氏名・所属・職名)により行われ、不正行為を行ったとする研究者(当該告発等に係る事実の発生の日に本学の研究者であった者を含む。)及び研究グループ並びに不正行為の内容とその科学的・合理的理由が示されている場合に受け付ける。
(1) 匿名による告発又は告発の意思を明示しない情報提供、相談若しくは照会等があり、調査等の必要があると認められる場合
(2) 学会等の科学コミュニティ、報道又はインターネット上において不正行為の疑いが指摘された場合
5 告発等窓口担当職員は、告発等を受け付けた場合、速やかに学長に報告する。
6 書面による告発等で、告発等窓口が受け付けたことを告発者が知りえない場合、告発者に受け付けた旨を通知する。
7 学長は、告発等により告発者、被告発者等が不利益な取扱を受けることのないように、守秘等の適切な方策を講じる。
2 研究倫理教育責任者又は学科長が不正行為に係る被告発者である場合は、学長が適任者を指名し、前項の調査を命じる。
3 第1項の予備調査を命ぜられた者は、被告発者から必要な書類の提出を求めるとともに、関係者へのヒアリングを行い、次の事項について予備調査を行う。
(1) 告発等が行われた不正行為が行われた可能性
(2) 告発等の際に示された科学的合理的理由の論理性
(3) 告発等が行われた事案に係る研究活動の公表から告発までの期間での研究成果の検証の可能性
(4) 告発等が行われた事案に係る研究データの有無
(5) 研究データが無い場合は、被告発者の部局で定める保存期間の超過の有無、また、その保存期間が研究分野の特性に応じた合理的な期間であるかどうか
4 前項の予備調査を実施した者は、その結果を速やかに学長に報告しなければならない。
(調査委員会)
第8条 学長は、前条の予備調査の結果について総務委員会に審議させ、告発等の受付から30日以内を目途に本調査の要否を決定し、その結果を告発者及び被告発者に通知するとともに、当該研究に係る経費の配分機関及び文部科学省(当該研究に係る経費が文部科学省の「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」のガイドライン対象制度一覧に掲げる研究資金による場合に限る。以下同じ。)に報告する。なお、本調査を不要と決定した場合は、通知等にその理由を記載する。
2 学長は、本調査を実施する場合は、調査内容に応じて本学の教職員又は外部有識者をもって調査委員会を設置し、本調査を命じる。
3 調査委員会の委員は、告発者及び被告発者等と直接に利害関係を有しない者から次により学長が指名する。ただし、全調査委員の半数以上を外部有識者とする。
(1) 本学の教職員から2人(研究倫理教育者、当該研究分野の研究者)
(2) 外部有識者から2人(弁護士・知財専門家、当該研究分野の研究者)
4 調査委員会の委員長は、委員の中から学長が指名する。
5 学長は、前項で指名する調査委員の氏名・所属を告発者及び被告発者に通知する。
6 前項の通知を受けた告発者及び被告発者は、当該通知により調査委員会の委員を知った日の翌日から起算して14日以内に不服申立てをすることができる。
7 前項の規定による不服申立てがあった場合、学長は総務委員会に審議させ、次のとおり対処する。
(2) 調査委員会の委員の変更を不要とした場合は、その理由を付して告発者及び被告発者に通知する。
8 調査委員会は、本調査の実施決定から30日以内を目途に本調査を開始する。
9 調査委員会は、告発等された事案に係る研究データ等の精査及び関係者へのヒアリング並びに再実験の要請等により本調査を実施する。この場合、被告発者の弁明を聴取しなければならない。
10 調査委員会は、被告発者から説明を受けるとともに、調査によって得られた、物的・科学的証拠、証言、被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して認定を行う。ただし、被告発者の自認を唯一の証拠として認定することはできない。
11 被告発者が、本来存在するべき基本的な要素の不足により、不正行為の疑いを覆すに足る証拠が示せないときは、不正行為と認定する。ただし、被告発者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわらず、その責によらない理由により基本的な要素を十分に示すことができなくなった場合等正当な理由があると認められる場合はこの限りではない。
12 関係者は、調査委員会の調査に協力しなければならない。
13 調査委員会は、本調査の開始から150日以内に不正行為の有無を認定し、学長に次の事項を報告しなければならない。
(1) 不正行為と認定する場合は、不正行為の内容及び不正行為に関与した者とその度合い
(2) 不正行為と認定しない場合は、その理由
(3) 本調査の開始から150日以内に調査結果が完了しない場合は、その経過、理由及び今後の見込等
(研究費の一時的執行停止)
第9条 学長は、不正行為の調査対象となっている者に対し、調査に関係する研究費の執行停止を命ずることができる。
(調査結果の通知、報告及び公表)
第10条 学長は、調査委員会の調査結果について総務委員会に審議させ、告発等の受付から240日以内を目途に不正行為の有無等を認定し、その調査結果を速やかに告発者、被告発者及び不正行為に関与したと認定する者に通知するとともに、当該研究に係る経費の配分機関及び文部科学省に報告する。また、期限までに調査が完了しない場合は、調査の中間報告を当該研究に係る経費の配分機関に提出しなければならない。
2 学長は、不正行為の認定があった場合、次の事項を速やかに公表しなければならない。
(1) 不正行為に関与した者の氏名又は所属。ただし、合理的な理由がある場合は、不正に関与した者の氏名又は所属を非公表にすることができる。
(2) 不正行為の内容及び本学が公表までに行った措置の内容
(3) 調査委員会の委員の氏名・所属、調査の方法・手順等
3 学長は不正行為が行われなかったと認定した場合、調査結果を公表しない。ただし、合理的な理由がある場合はこの限りではない。
4 学長は、告発等が悪意に基づくものであったと認定した場合は、調査結果を告発者の所属機関に通知するとともに、第2項各号に準じて適正な事項を公表する。
(不服申立て)
第11条 被告発者は、不正行為を行ったと認定されたときは、前条第1項の通知により当該認定を知った日の翌日から起算して60日以内に不服申立てをすることができる。
2 前項の不服申立てがあった場合、学長は速やかに次のとおり対処する。
(2) 告発者に通知するとともに、当該研究に係る経費の配分機関及び文部科学省に不服申立てがあったことを報告する。
3 前項第1号により、調査委員会等は、不服申立ての趣旨、理由等を考え合わせ、その事案の再調査の要否を速やかに決定し、次のとおり対処する。
(1) 再調査を開始すべきとした場合は、直ちに学長に報告する。
(2) 前号の再調査の開始後50日以内を目途に、先の調査結果を覆すか否かを決定し、学長に報告する。
(3) 再調査を不要とした場合は、直ちにその理由を示し、学長に報告する。
6 告発が悪意に基づくものと認定された告発者は、第1項に準じて不服申立てをすることができる。その際、「被告発者」を「告発者」と、また、「不正行為を行った」を「告発が悪意に基づくもの」と読み替える。
(調査結果に基づく措置)
第12条 第10条第1項の報告で不正行為の認定があった場合は、学長は、次のとおり対処する。
(1) 不正行為と認定された研究に関連する研究費の使用の中止
(2) 不正行為と認定された研究に関連する論文等の取下又は訂正等の勧告等
(3) 公立大学法人岡山県立大学職員就業規則等の規定に基づく手続及び措置
2 不正行為の認定がなかった場合は、学長は、被告発者の名誉回復及び研究活動の正常化のために十分な措置をとるとともに、告発等が本学の教員又は事務職員の悪意に基づくものであったと認定した場合は、学長は、公立大学法人岡山県立大学職員就業規則等の規定に基づき必要な手続及び措置を行う。
3 第1項の規定による処分を行った場合は、学長は、関係する学部・学科の責任者に、速やかに是正及び再発防止のための環境の整備を命じるとともに、該当する研究に係る経費の配分機関及び文部科学省に報告する。
(告発者及び調査協力者の保護)
第13条 学長は、不正行為に関する告発者及び調査協力者が告発や情報提供を理由に不利益を受けることがないように十分な配慮を行わなければならない。
(守秘義務)
第14条 調査委員会の委員並びに関係者は、この規程に基づく調査により知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(事務)
第15条 不正行為防止等に関する事務は、事務局地域連携・研究推進課において処理する。
(委任)
第16条 この規程に定めるもののほか、不正行為への対応に関し必要な事項は、学長が別に定める。
附則
1 この規程は、平成27年6月18日から施行する。
2 岡山県立大学における研究活動上の不正行為防止等に関する規程(平成19年10月18日制定)は廃止する。
附則(平成28年3月7日)
この規程は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成29年3月28日)
この規程は、平成29年4月1日から施行する。
附則(平成31年1月15日)
この規程は、平成31年1月15日から施行する。
附則(令和2年3月27日)
この規程は、令和2年4月1日から施行する。
附則(令和3年3月26日)
この規程は、令和3年4月1日から施行する。
附則(令和3年7月15日)
この規程は、令和3年7月15日から施行する。