授業科目名(和文)
[Course]
波動情報工学特論
授業科目名(英文)
[Course]
Advanced Electromagnetic-wave Engineering
学部(研究科)
[Faculty]
情報系工学研究科
学科(専攻)
[Department]
システム工学専攻
単位数
[Point(Credit)]
2単位
対象学生
[Eligible students]
1・2・3年次生
授業概略と目標
[Course description and Objects]
近年活発に研究が行なわれている、誘電率および透磁率が共に負である(負の屈折率をもつ)左手系媒質あるいはメタマテリアルと呼ばれる人工媒質ならびにこの媒質を伝搬する電磁波の性質さらにマイクロ波・ミリ波への応用について学習する。
到達目標
[Learning Goal]
1. 負の屈折率をもつ媒質においても、電界ベクトル、磁界ベクトルおよび波数ベクトルはマクスウェル方程式を満たし、電磁波が伝搬することを理解する。
2. 後退波特性および負の屈折による集光作用について理解する。
3. メタマテリアルの構成法を理解する。
授業計画とスケジュール
[Course schedule]
 1960年代後半に誘電率および透磁率が共に負である媒質中での電磁波のふるまいに関する研究が行われ、波面の進行方向がエネルギーの進行方向と逆向きである後退波特性、負の屈折による集光作用およびエバネッセント波の増幅による平板状の完全レンズ等の特異な性質が報告された。このような媒質は左手系媒質(Left-Handed Media:LHM)と呼ばれている。LHMを用いれば従来の媒質では設計範囲外となり実現不可能であった動作パラメータをもつ全く新しいタイプの機能素子が構成できる可能性があるが、このような媒質は自然界には存在しないため応用への発展は見られなかった。
 近年、空隙を有する環状の金属共振器と細線を交互に配置した周期構造をもつ人工媒質(メタマテリアル)がマイクロ波に対して負の屈折率特性を示すことが見いだされた。さらに等価回路的手法を用い,従来の分布定数線路に直列容量および並列インダクタンスを周期的に装荷した構造による右手・左手系複合伝送線路(Composite Right/Left-Landed Transmission Line:CRLH-TL)によってLHMが構成できることが報告された。これを機にLHMの特性を利用した新たなマイクロ波回路および機能素子への研究が活発化し、これまでにLHMの後退波特性を利用したマイクロ波カプラや漏波アンテナ等が報告されている。
 本講ではCRLH-TLを中心にLHMを伝搬する電磁波の性質およびマイクロ波・ミリ波機能素子への応用について学習する。

 1. メタマテリアルの歴史と分類
 2. マクスウェル方程式と構成関係式
 3. 位相速度・群速度
 4. 負の屈折率,エバネセント波の増幅
 5. スーパーレンズ
 6. 左手系媒質の反射と透過
 7. スプリットリング共振器と細線で構成された左手系媒質
 8. 透明マント 
 9. 左手系媒質と伝送線路理論
10. 右手・左手系複合伝送線路(CRLH-TL)
11. ブロッホインピーダンス
12. CRLH-TLを用いた漏波アンテナ
13. CRLH-TLを用いたマイクロ波カプラ
14. フェライトを用いたCRLH-TL
15. まとめ
成績評価方法と基準
[Grading policy (Evaluation)]
英文資料の日本語訳、および期末試験(あるいはこれに相当するレポート)の成績を総合して評価する。
教科書
[Textbook]
教科書:英文の関連資料を配布する。

参考書:C. Caloz and T. Itoh, Electromagnetic Metamaterials: Transmission Line Theory and Microwave Applications, Wiley-Interscience, 2006
自主学習ガイド及び
キーワード
[Self learning]
予習によって講義内容の概要を把握し,疑問点を明らかにしておく。講義中強調した事項,演習問題等を復習する.不明な点は遠慮無く質問してください。
開講年度
[Year of the course]
25
備考 学部での電磁気学,電磁波工学等の講義の復習が大切である。
分布定数線路を理解するとCRLH-TLの理解が容易になる。