授業科目名(和文)
[Course]
人間関係を考える
授業科目名(英文)
[Course]
Human Relations
学部(研究科)
[Faculty]
全学教育
学科(専攻)
[Department]
人間と文化の理解
担当教員(○:代表教員)
[Principle Instructor(○)
and Instructors]
○山口 裕子  自室番号()
単位数
[Point(Credit)]
2単位
授業概略と目標
[Course description and Objects]
私たちの社会生活は、さまざまな人間関係から成り立っている。その大切さや難しさを、私たちは日常的に経験してきている。だが、改まって「人間関係とは何か」と考える機会は案外と少ない。本講義では、人間関係にかかわる古典的な主要理論を学んだ上で、それを手がかりに、私たちの周囲の人間関係の諸相を理解していく。そのために、考察の対象となる「人間関係」を、日本の過去と現在、異なる社会との比較の視点を用いながら、的確に社会的歴史的文脈に位置付けることが必要となる。これらの講義全体を通して、人間関係についての理解を深め、さらに人間関係という側面から私たちが生きる日本社会の特性も逆照射してみたい。
到達目標
[Learning Goal]
1.人間関係にかかわる主要理論を参照しながら、人間関係の多様な様相を捉える。
2.さまざまな社会的文脈や異文化における、人間関係の形成過程およびコミュニケーションや対人行動の特徴を具体的事例に則して理解する。
3.1.2.をとおして、普段あえて対象化することなく「当たり前」のものとして生きている、私たち自身をとりまく人間関係を問い直してみる。
4.諸事象を理論に照らして理解する視点と、理論そのものを批判的に検討する視点の双方を養う。
履修上の注意
[Notes]
授業への積極的な取り組み、つまり講義の内容を自分自身の身近な人間関係の理解に援用する姿勢、さらに物事を批判的に検討する実践的な思考を重視する。
授業計画とスケジュール
[Course schedule]
1. 人間関係論の誕生:ホーソン実験、集団、組織、地位と役割
2. 人間関係の形成・1:第一印象と「接触の効果」、性格特性と職業上の能力の関係
3. 人間関係の形成・2:セルフ・モニタリングと自己呈示
4.人間関係の維持と崩壊・1:親密化のプロセスと、社会的交換理論
5.人間関係の維持と崩壊・2:関係崩壊の契機と段階的プロセス
6.人間関係と対人行動・1:自己を知る、鏡映的自己、「主我・客我」、自尊感情
7.人間関係と対人行動・2:対人認知に及ぼす効果(光背効果、寛大効果、仮定された類似性  
  etc.)、印象形成と初頭効果
8.人間関係の諸側面・1:援助行動と傍観者効果、社会的怠惰と観察者効果
9.人間関係の諸側面・2:攻撃行動とタナトス(死の本能)
10.人間関係の諸側面・3:コミュニケーションから見る説得のテクニックと態度変容
11.人間関係の諸側面・4:人間関係の改善と自己開示
12.「恥の文化」「縦社会」「甘え」:日本文化論と「日本的人間関係」の特徴
13.身近な「異文化」:「誤解」はなぜ生じるか
14.非言語コミュニケーション:時間と空間の概念、身体接触学に見る日本の人間関係の特徴
15. 身近な人間関係を問い直す:「孤独」「無縁社会」を考える
成績評価方法と基準
[Grading policy (Evaluation)]
授業内の課題(リアクションペーパー30~40%程度)と、期末試験(60~70%程度)に基づき総合的に評価する。
教科書
[Textbook]
教科書:使用しない
参考書:『要説 人間関係論』(2003年、樹村房)ほか、必要な資料は適宜授業内で配布、または指示する。
自主学習ガイド及び
キーワード
[Self learning]
上記の参考書にあらかじめ目をとおしたり、日常生活や、新聞、テレビなどから人間関係に関する事象、記事、情報などに注意を向けるなどしておいてほしい。
開講年度
[Year of the course]
24
備考 授業では、上にあげた内容以外にも、社会で実際に起きている人間関係に関連する事件、事象などを随時取り上げたい。