○岡山県立大学人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規程
(令和5年10月12日)
(目的)
第1条
この規程は、岡山県立大学(以下「本学」という。)における人を対象とする生命科学・医学系研究(以下「研究」という。)について、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)(以下「倫理指針」という。)に基づき、人間の尊厳及び人権が守られ、研究が適正に実施されるために必要な事項を定める。
(用語の定義)
第2条
この規程において用いる用語の定義は、倫理指針において定める定義のほか、次の各号に定めるとおりとする。
(1)
研究者等 本学において、研究に携わる教授、准教授、講師、助教、助手及び特任教員をいう。
(2)
研究責任者 前号の研究者等であって、当該研究に係る業務を統括する者をいう。
(3)
研究代表者 多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関を代表する研究責任者をいう。
(責務等)
第3条
本学における研究者等は、研究を実施するときは、倫理指針及び関係法令等を遵守し、研究計画書に従って適正に実施しなければならない。
2
研究者等は、研究の実施に先立ち、研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育及び研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育及び研修を受けなければならない。
3
学長は、研究機関の長として、本学における研究について総括的な監督を行い、研究実施のための体制・規程の整備等を行う責務を負う。
(倫理委員会の設置)
第4条
第1条で規定する研究について審査を行うため、本学に岡山県立大学倫理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
[
第1条
]
(委員会の責務等)
第5条
委員会は、研究責任者または研究代表者から研究の実施の適否等について意見を求められたときは、倫理指針に基づき、倫理的観点及び科学的観点から、当該研究に係る研究機関及び研究者等の利益相反に関する情報も含めて中立的かつ公正に審査を行い、意見を述べなければならない。
2
委員会は、人を対象とする研究であって、倫理指針の適用範囲に含まれないものについて、研究責任者の申請に基づき、研究計画の審査を行う。
3
委員会の委員及びその事務に従事する者等は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。
(委員会の構成)
第6条
委員会の構成は以下のとおりとする。
(1)
各学部長
(2)
医学・医療の専門家等、自然科学の有識者 若干名
(3)
倫理学・法律学の専門家等、人文・社会科学の有識者 若干名
(4)
研究対象者の観点も含めて一般の立場から意見を述べることのできる者 若干名
2
委員会は、男女両性で構成し、少なくとも2名の学外委員を置かなければならない。
3
委員の任命又は委嘱は、学長が行う。
4
委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、欠員を生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(委員長及び副委員長)
第7条
委員会に委員長及び副委員長を置き、委員長は保健福祉学部長をもって充て、副委員長は委員の中から委員長が指名する。
2
委員長は、委員会を招集し、その議長となる。
3
委員長に事故があるときは、副委員長がその職務を代行する。
(専門委員)
第8条
委員会が特に必要と認める場合、高度な専門知識を有する者を専門委員として、審議に参加させることができる。
2
専門委員は、委員会の議を経て、委員長が期間を定めて委嘱する。
(委員会の議事)
第9条
委員長は第5条に規定する責務を行うときは、原則として、委員会を招集するものとする。
[
第5条
]
2
前項に規定された委員会は、次の各号に掲げる要件をすべて満たさなければ、会議を開くことができない。
(1)
第6条の第1項の各委員が、各1名以上出席すること
[
第6条
]
(2)
学外委員が2名以上出席すること
(3)
男女各1名以上が出席すること
(4)
5名以上が出席すること
3
審査の対象となる研究の実施に携わる研究者等は、委員会の審議及び意見の決定に同席してはならない。ただし、委員会の求めに応じて、委員会に出席し、意見を述べることができる。
4
委員会の意見は、出席委員の全会一致をもって決定するように努めなければならない。ただし、これによることが困難な場合は、出席委員の4分の3以上の合意をもって決定する。
(申請)
第10条
第4条に規定する審査を受けようとする研究責任者又は研究代表者は、倫理審査申請書(様式第1号)(以下「申請書」という。)及び研究計画書(様式第2号)に必要な書類を添えて、委員会に提出し、審査を受けなければならない。
[
第4条
]
2
多機関共同研究を行う場合で本学の研究責任者が研究代表者となる場合は、原則として、本学の委員会で審査を受けることとし、各共同研究機関の研究責任者の役割及び責任を明確にした上で、一の研究計画書を作成し、前項に準じた書類を委員会に提出し、審査を受けなければならない。
(審査)
第11条
委員会は、原則、申請書等に基づき、審査を行う。
2
委員会は、必要のあるときは、研究責任者を当該研究計画等の審査を行う会議に出席させ、申請内容等の説明を求めることができる。
3
審査の判定は、出席委員の全会一致により議決が行われるよう努めなければならない。ただし、これによることが困難な場合は、出席委員の4分の3以上の合意をもって決定するものとし、次の各号に掲げる表示により行うものとする。
(1)
承認 研究の実施計画の内容どおりに実施してよいもの
(2)
条件付承認 研究の実施計画、倫理的配慮の一部の修正を要するもの
(3)
変更の勧告 研究の実施計画、倫理的配慮の大幅な修正を行い、再審査を要するもの
(4)
不承認 研究の実施計画自体が認められないもの
(5)
非該当 委員会の審査対象とならないもの
4
委員会は、審査終了後速やかに、その結果を倫理審査結果通知書(様式第3号)により研究責任者に通知し、その結果が前項第1号に該当する場合は、併せて学長に報告するものとする。
(迅速審査)
第12条
委員会は審査を行う研究が次の各号のいずれかに該当すると委員長が認める場合は、委員長が指名する委員2名による審査(以下「迅速審査」という。)によることができる。
(1)
多機関共同研究であって、一括審査によらず、個別に審査を行う場合で、既に当該研究の全体について他の倫理審査委員会の審査を受け、その実施について適当である旨の意見を得ている場合の審査
(2)
研究計画書の軽微な変更に関する審査
(3)
倫理指針に基づく研究であって、侵襲を伴わない研究であって介入を行わないものに関する審査
(4)
倫理指針に基づく研究であって、軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないものに関する審査
(5)
人を対象とする研究であって、倫理指針の適用範囲に含まれないものについて、研究責任者の申請に基づくものに関する審査
2
迅速審査を担当する委員は、原則として、研究計画等に基づき書面審査を行う。
3
前項で報告された判定結果は委員会の意見とするものとする。
4
迅速審査の結果、審査にあたった委員のうちいずれかが、第11条第3項第2号、第3号又は第4号の判定を行った場合、委員長は第4条に規定する委員会に付議するものとする。なお、この場合、委員会による判定が、迅速審査による判定に優先する。
[
第11条第3項第2号
] [
第3号
] [
第4号
] [
第4条
]
5
委員長は、迅速審査を行った申請及び判定結果を、直近に開催される委員会において報告するものとする。なお、当該委員会において、迅速審査結果に疑義が生じた場合は、通常審査とするものとする。この場合で、第11条に規定する審査結果を当該研究の研究責任者に既に通知している場合は、当該研究の研究責任者に直ちに通知しなければならない。
[
第11条
]
6
第1項により指名を受けた委員において、迅速審査が困難と判断された場合は、委員会において通常審査を行うものとする。
7
委員会は第1項第2号に該当する事項のうち、研究計画内容に直接的な影響を及ぼさないとみなされる変更で、次の各号のいずれかに該当するものについては、報告事項として取扱うことができる。
(1)
研究者等の所属、職名又は氏名の変更
(2)
研究分担者の追加又は削除
(3)
研究実施場所の追加
(4)
承認済み研究計画で、有害事象が発生しておらず、新たなリスクが発生しない研究計画の実施期間を延長する場合で、研究開始から5年を超えない範囲での延長
(5)
研究内容の変更を伴わない研究計画書の字句修正等の記載整備
(研究実施許可通知)
第13条
学長は、第11条第4項の規定により委員会から審査結果の報告を受けた場合は、速やかに研究実施等の可否を決定し、研究実施許可(不許可)通知書(様式第7号)により研究責任者に通知しなければならない。
[
第11条第4項
]
(再審査)
第14条
審査結果に対し異議のある場合は、研究責任者は、再審査を申請することができる。
2
前項の再審査申請をしようとするときは、倫理審査結果通知書を受領した日の翌日から起算して1か月以内に、再審査申請書(様式第4号)を委員会に提出しなければならない。
3
委員会は前項の再審査申請書を受理したときは、再審査の可否を判断し、結果を通知する。
4
前項における再審査を行う場合は、第11条及び第12条の規定に準じて審査を行うものとする。
[
第11条
] [
第12条
]
(研究計画の変更等)
第15条
研究責任者は、既に承認された研究計画について、変更しようとする場合は、計画変更申請書(様式第5号)を委員会に提出しなければならない。
2
研究開始時に委員会の審査を経ていない研究について、研究遂行中に研究責任者が希望する場合は、審査の申請を受け付けることとする。
3
前2項の審査は、第11条及び第12条の規定に準じて行うものとする。
[
第11条
] [
第12条
]
(他機関での一括審査)
第16条
本学の研究責任者が多機関共同研究を行う場合で、他機関の倫理審査委員会による一括した審査を受ける場合は、本学の審査は不要とする。ただし、本学での審査を拒むものではない。
2
前項の規定による研究を実施する場合は、研究実施許可申請書(様式第6号)に当該倫理審査を行った機関から発行された審議内容、審査結果及び当該倫理審査委員会の委員の出欠状況がわかる書類の写し並びに本学において実施する研究の内容が確認できる書類を添付して、学長に提出し、研究実施の許可を受けなければならない。
3
学長は、前項の規定により提出された書類を確認後、研究実施許可(不許可)通知書(様式第7号)を交付し、研究の実施を許可するものとする。なお、必要に応じて委員会の意見を聞くことができる。
(実施状況の調査)
第17条
学長は、委員長に対して、承認された研究に係る実施状況について、定期的に又は随時、調査を依頼し、報告を求めることができるものとする。この場合において、研究者等は調査に誠実に協力しなければならない。
(研究計画の中止又は変更の勧告)
第18条
学長は前条に規定する報告又は調査の結果、倫理的配慮に問題が認められると判断した場合は、研究責任者に研究計画の中止又は変更を勧告するものとする。
(研究終了及び実施状況の報告)
第19条
研究責任者は、研究実施期間終了後、速やかに研究結果報告書(様式第8号)を提出しなければならない。なお、研究の実施期間が複数年度にわたる場合は、各年度の末日までに研究経過報告書(様式第9号)を提出するものとする。
(記録の保存)
第20条
委員会が審査を行った研究に関する審査資料等は、当該研究の終了が報告された日又は中止の日の翌日から5年を経過した日までの期間、書面または電磁的方法により適切に保管する。
2
保存期間を経過した記録でさらに保存が必要であると委員会が認めた場合は、当該記録の保存期間を5年以内の範囲で延長することができる。
(委員会の情報公開)
第21条
委員会の組織及び運営に関する規程並びに委員名簿は、公表しなければならない。
2
委員会の開催状況及び審査の概要については、倫理審査委員会報告システムにおいて、年1回以上、公表しなければならない。ただし、審査の概要のうち、研究対象者等及びその関係者の人権又は教職員等及びその関係者の権利利益の保護のため非公開とすることが必要な内容として委員会が判断したものについては、この限りでない。
(インフォームド・コンセントを受ける手続等)
第22条
研究者等は、研究を実施するときは、倫理指針に従い、インフォームド・コンセントを受ける手続等を行わなければならない。
(研究により得られた結果等の説明に係る手続等)
第23条
研究責任者は、研究を実施するときは、倫理指針に従い、当該研究により得られた結果等の研究対象者への説明方針を定め、研究計画書に記載しなければならない。
(研究に係る適切な対応と報告)
第24条
研究者等は、研究の倫理的妥当性又は科学的合理性を損なう又はそのおそれがある事実を知り、又は情報を得た場合(次項に該当する場合は除く。)には、速やかに研究責任者に報告しなければならない。
2
研究者等は、研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう又はそのおそれがある事実を知り、又は情報を得た場合には、速やかに研究責任者又は学長に報告しなければならない。
3
研究者等は、研究に関連する情報の漏えい等、研究対象者等の人権を尊重する観点又は研究の実施上の観点から重大な懸念が生じた場合には、速やかに学長及び研究責任者に報告しなければならない。
(研究の進捗状況の管理及び監督並びに有害事象等の把握及び報告)
第25条
研究責任者は、研究の実施に係る必要な情報を収集するなど、研究の適正な実施及び研究結果の信頼性の確保に努めなければならない。
2
研究責任者は、前条第1項による報告を受けた場合であって、研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合(次項に該当する場合を除く。)には、遅滞なく学長に報告し、必要に応じて、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。
3
研究責任者は、前条第2項又は前条第3項による報告を受けた場合には、速やかに学長に報告し、必要に応じて、研究を停止し、若しくは中止し、又は研究計画書を変更しなければならない。
4
研究責任者は、研究の実施において、当該研究により期待される利益より予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該研究により十分な成果が得られた、若しくは十分な成果が得られないと判断される場合には、当該研究を中止しなければならない。
5
研究責任者は、研究計画書の定めるところにより、研究の進捗状況及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を委員会及び学長に報告しなければならない。
6
研究責任者は、多機関共同研究を実施する場合には、共同研究機関の研究責任者に対し、当該研究に関する必要な情報を共有しなければならない。
7
学長は、前条第2項若しくは前条第3項又は本条第2項若しくは本条第3項の規定による報告を受けた場合には、必要に応じて、委員会の意見を聞き、速やかに研究の中止、原因究明等の適切な対応を取らなければならない。この場合、委員会が意見を述べる前においては、必要に応じ、研究責任者に対し、研究の停止又は暫定的な措置を講じるよう指示しなければならない。
(大臣への報告等)
第26条
学長は、本大学が実施している又は過去に実施した研究について、倫理指針に適合していないことを知った場合には、速やかに委員会の意見を聞き、必要な対応を行うとともに、不適合の程度が重大であるときは、その対応の状況及び結果を文部科学大臣及び厚生労働大臣に報告し、公表しなければならない。
(利益相反の管理)
第27条
研究責任者は、研究に関与する研究者等の利益相反に関する状況について、研究計画書に記載し、インフォームド・コンセントを受ける手続において研究対象者に説明しなければならない。
(試料及び情報等の保管)
第28条
学長は、本学が実施する研究に係る人体から取得された試料及び情報等が適切に保管されるよう必要な監督を行わなければならない。
(モニタリング及び監査)
第29条
研究責任者は、研究の信頼性の確保に努めなければならず、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものを実施する場合には、当該研究の実施について学長の許可を受けた研究計画書の定めるところにより、モニタリング及び必要に応じて監査を実施しなければならない。
2
研究責任者は、監査の対象となる研究の実施に携わる者及びモニタリングに従事する者に、監査を行わせてはならない。
3
モニタリングに従事する者は、当該モニタリングの結果を研究責任者に報告しなければならない。また、監査に従事する者は、当該監査の結果を研究責任者及び学長に報告しなければならない。
4
モニタリングに従事する者及び監査に従事する者は、その業務上知り得た情報を正当な理由なく漏らしてはならない。その業務に従事しなくなった後も同様とする。
(重篤な有害事象への対応)
第30条
学長、研究者等及び研究責任者は、倫理指針に基づき、重篤な有害事象への対応を行わなければならない。
(庶務)
第31条
委員会の庶務は、事務局地域連携・研究推進課において行う。
(個人情報等に係る基本的責務)
第32条
研究者等及び学長は、研究を実施する場合は、個人情報及び匿名加工情報の取扱いに関して、倫理指針の規定のほか、個人情報保護法及び関係条例等を遵守しなければならない。
2
前項に規定する個人情報等の安全管理については、公立大学法人岡山県立大学個人情報保護規程に加え、倫理指針の規定に従う。
[
公立大学法人岡山県立大学個人情報保護規程
]
(委任)
第33条
この規程及び倫理指針に定めるもののほか、委員会の運営に関し必要な事項は、委員会が別に定める。
附 則
1
この規程は、令和5年10月12日から施行し、令和5年10月23日から適用する。
2
この規程の施行に伴い、岡山県立大学倫理審査規程は廃止する。
3
前2項にかかわらず、令和5年10月23日において現に岡山県立大学倫理審査規程により実施中の研究については、なお従前の例によることができる。
様式第1号
倫理審査申請書
様式第2号
研究計画書
様式第3号
倫理審査結果通知書
様式第4号
再審査申請書
様式第5号
計画変更申請書
様式第6号
研究実施許可申請書
様式第7号
研究実施許可(不許可)通知書
様式第8号
研究結果報告書
様式第9号
研究経過報告書