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岡山の染色加工メーカーの規格外品(廃棄生地)からサスティナブル(持続可能)なものづくり

染色製品の加工工程で染めむらなど廃棄となる規格外生地から新素材「NUNOUS(ニューノス)」を開発しアップサイクル事業に本格参入している岡山の老舗染色加工会社の セイショク株式会社は、サスティナブル(持続可能)なものづくりを図るため素材開発から製品化までを展開しており、大理石のような1点ずつ異なる表情と多様な加工性を併せ持つ素材として、ホテルの客室に採用されるなど広がりを見せています。

2015年に正織興業株式会社(現:セイショク株式会社)から繊維廃材を加工した新素材の開発について相談を受け、現在も共同研究を行っている岡山県立大学デザイン学部デザイン工学科 三原 鉄平教授にお話しを伺いました。
<INTERVEW>
  •  正職興業株式会社(現:セイショク株式会社)の西崎さんから「これで何かつくれないか?」と規格外生地をプレスし積層したブロックを手に相談を受けたのが2015年。西崎さんが2013年から繊維廃材を加工して新商品を開発するため、工業試験場などで試行錯誤して製作されたブロックでした。
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  •  当時、この取り組みに興味を持った岡山県立大学デザイン学部デザイン工学科4年生の谷口敦子さんは、このブロックの切断面を木目に見立て、資材も少なく制作できる「フレーム」を卒業研究の成果物として発表しました。デザイン工学科の授業内容は、ものづくりに必須であるデザイン技能や造形力を身に付けるだけでなく、社会課題をふまえたコンセプト立案、生産や流通に即した設計、プロモーション、ブランディング等をトレーニングをする機会でもあります。

  • (卒業研究の作品)
作品_sennihaizaiwo motiitahure-mu
 
 
『繊維廃材を用いたフレーム』
-繊維廃材のアップサイクルに関する研究-
  • マテリアルサイクルの中で布製品は再利用を行う場合、手間とコストがかかり循環型社会に適合していくことが難しいと考えられることからアップサイクルに適していると考えた。今回は工場から出た布の欠品を積層し、切断面に表情を付けてフレームを制作した。
  • ■岡山県立大学デザイン学部デザイン工学科
  •  プロダクトデザインコース 谷口 敦子

※現在も自動車の塗装品質管理に携わるモノづくりの業界で活躍中
 
  •  この卒業制作の指導を行うことで、企業と研究者がお互いの相性を確認する期間にもなり、2016年度から共同研究を正式にスタートすることになりました。セイショク株式会社は繊維の染色・整理加工を行う企業ですが、サスティナブル(持続可能)なものづくりを成立させるためには、事業全体のプロモーションや企業のブランディングを見据えたデザイン設計がとても重要です。
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  •  積層した繊維を切断すると現れる柄や手触りに着目し、レーザーやワイヤーなど「何」で切るか、どのくらいの「厚さ」で切るか、必要な設備は提供してくれる企業や工場を探しながら実験を重ね、薄く薄くスライスすることで意匠性のある素材の研究を進めました。製品化しBtoC(法人から消費者)へアプローチすることはBtoB(法人から法人)へのプロモーションにも繋がります。
  •  また、干拓により塩分に強い綿花の生産が盛んになり紡績業が発展した岡山の歴史と、それに繋がる100年以上の歴史をもつセイショク株式会社が、繊維廃材を活用しアップサイクル素材を開発するというストーリーは必然性に満ちたものです。
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  • ―ここから「何がつくれるのか」。
  •  開発された新素材「NUNOUS(ニューノス)」は、既にインテリア資材としても使われ始めていますが、縫製などの様々な加工が行えるため革のように扱うこともできます。セイショク株式会社の研究開発チームには本学卒業生もいて、一緒に開発を行っています。様々な分野で認知と価値を高めることで、アップサイクルが事業として成立できるようになることを目指しています。
<プロダクトデザイン分野の専門家を目指すみなさんへ>
プロダクトデザインは、量産品のデザインを専門とする仕事で、その対象は自動車から生活用品まで多種多様です。そのため美術的なスキルだけでなく、人々の生活や様々な技術、ビジネスや社会環境など幅広い知識に精通していることが必要です。逆にどんなことでも仕事に関係してくるため、目の前の物事を「自分には関係ない」と決めつけてしまうと損をしてしまいます。できそうなことは「やってみてから考える」とか、安易に「結論を出さない」という態度が仕事の幅を広げてくれます。自分の目の前のことに丁寧に取り組んでみて下さい。

  
顔写真 三原教授
 
■岡山県立大学デザイン学部デザイン工学科
 専門分野 プロダクトデザイン
 教授 三原 鉄平
 
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  • 相談、共同研究可能なテーマ:プロダクトデザイン開発及びデザイン評価分析
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  • 研究の概要:経済・社会環境の急激な変化に伴い、地域の活力と雇用を担う中小企業の在り方も大きく変化している。特にコンシューマプロダクトに携わる企業においては、事業ドメインの明確化とストーリー性、それを具現化する為のデザインの重要性は、これまで以上に高まっている。このとき大企業のプロダクトデザインとは異なり、機動性や地域性を活かした独自のアプローチやリスクの取り方、事業全体と密接に絡んだマネジメント等が重要となる。本研究は、これからの地域産業においてのプロダクトデザインの在り方を実践的に研究することによって、地域の活性化につなげることを目的に行うものである。
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  • 教育研究者総覧から抜粋)

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